日本は「ゆでガエル」状態?――小川榮太郎氏が問う法治国家の危機

幸福に生きるために

8月1日、仙台市で、文藝評論家で一般社団法人「日本平和学研究所」理事長の
小川榮太郎氏による特別講演会「世相を斬る」が開催されました。

会場には約450人が集まりました。
安倍晋三元首相の暗殺事件から4年余り。
小川氏は安倍晋三元首相への思いから現在の政治情勢、
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への解散命令を巡る問題まで、
幅広いテーマについて語りました。

その中で一貫していたのは、
「日本は法治国家として、今どこに向かっているのか」という重い問いでした。

世界日報に掲載されたこの記事を読み、私自身あらためて考えさせられました。
今回は、特に心に残ったその講演内容をご紹介したいと思います。

<写真:小川氏の講演会(世界日報より)>

「今でも時々、安倍さんの夢を見る」

講演の冒頭、小川氏は、
「今でも時々、安倍さんの夢を見る」と率直な心情を明かしました。

安倍元首相が銃撃され亡くなってから4年余り。
その時間が過ぎても、小川氏にとって安倍氏の存在の大きさは変わっていないといいます。

昭恵夫人を弔問した際に「主人は戦死したんですよね」という昭恵夫人の言葉にも触れ、小川氏はそれを「日本を取り戻そうとした政治家の生涯を象徴する表現」だと語りました。

また、暗殺事件には今なお不可解な点が残されているとして、
「真相究明は本来、国会が責任を持って取り組むべき課題だ」と訴えました。

多くの人から慕われた安倍氏

講演では、政治家としてだけではない安倍氏の人柄についても紹介されました。

安倍氏に批判的だった人も、安倍氏に会って話をすると、
「こんなにいい人とは知らなかった」と印象を大きく変えることがあったといいます。

政策への賛否を超えて、多くの人から慕われた安倍氏の人間的魅力を物語るエピソードでした。

高市首相への期待とメディアへの問題提起

また小川氏は、現在の政治についても言及し、高市早苗首相に強い期待を示しました。

特に皇室典範改正への取り組みを高く評価し、大きな政治的成果であるからこそ、
激しい批判も受けていると語りました。

7月17日に皇室典範改正法案が国会で多数の賛成を得て成立した一方で、
大手メディアの多くが反対姿勢を示したことを取り上げました。


政治に示された民意とメディアの論調との間に隔たりがあると問題提起しました。

小川氏は、世論を一方向へ導こうとするメディアの姿勢が表れているとして、
「ここから次の戦いのステージに入る」と語りました。

こうしたメディアや世論形成への問題意識は、
講演後半のテーマである家庭連合の解散問題へとつながっていきました。

一つの宗教法人だけの問題ではない

小川氏はこれまで、家庭連合の解散命令を巡る裁判に、
有識者として意見書を提出するなど、この問題について発言を続けてきました。

しかし、当初から家庭連合を擁護する立場で見ていたわけではなかったといいます。

「最初は距離を置いて外側から見ようと考えていた。
しかし調べれば調べるほど驚くことばかりだった」と。

小川氏は、家庭連合への解散命令を、
「単なる一宗教法人の問題ではなく、日本の法治国家としての在り方が問われている問題」
と位置付けました。

宗教法人に問題があるのなら、当然、法律に基づいて厳正に対処されなければならない。
同時に、社会的に強い批判を受けている団体であったとしても、
法に基づいた適正な手続きや人権が保障されなければならない――。
そこに法治国家の大切な原則があります。

問われている「信教の自由」

小川氏が特に問題視したのは、解散命令を巡る司法手続きや行政の対応でした。

非公開で進められた審理や教団施設への対応などを、
「ここまでの権力行使が本当に正当だったのか」と。

また、司法が宗教教義の内容に踏み込むことについても強い懸念を示しました。
憲法が保障する「信教の自由」という観点から、この問題を考える必要があると訴えました。

自分が賛同できない宗教や思想を持つ人にも、同じように権利が保障される。

それこそが民主主義社会における自由の意味だからです。

同調圧力の中で失われるもの

小川氏は、現在の日本社会を「ゆでガエル」にたとえました。

「ゆでガエル」とは、環境が少しずつ悪化していくと、その変化に慣れてしまい、
危険が迫っても気づかないまま深刻な状況に陥ってしまうという比喩
です。

私たちが「少しずつの変化」に慣れてしまう危険性を表しました。

小川氏は、日本社会でも同じように、一つの方向に世論が傾いていく中で、
異なる意見を口にすることが難しくなっていると懸念しました。

そして家庭連合問題についても、巨大な陰謀が存在するというより、
「社会のエリート層が責任を果たさなくなっている」との見方を示しました。

行政、司法、メディアなど、本来それぞれ異なる役割を担う存在が同じ方向へ流れてしまえば、
社会はその異常さに気づかないまま、それを「当たり前」として、
受け入れてしまうのかもしれません。

社会から批判されている存在だからこそ、冷静に法と証拠に基づいて判断する。

多数派とは異なる意見にも耳を傾ける。
それができる社会であるかどうかが、今、問われているのかもしれません。

「信教の自由」はすべての人のためにある

小川氏は最後に、

「家庭連合問題は、宗教団体だけの問題ではない。日本の憲法や信教の自由、
人権を考える問題として社会に問い掛けていかなければならない」

との趣旨を語り、今後、有識者による憲法論議をさらに深めていく考えを示しました。

信教の自由とは、特定の宗教団体だけを守るための権利ではありません。

仏教徒やキリスト教徒、新しい宗教を信じる人にも、
宗教を信じない人にも関わる、すべての国民の自由です。

だからこそ、好きか嫌いかで判断するのではなく、
「同じことが自分の信仰や思想に起きたとき、それでも受け入れられるのか」
という視点を持つことが大切ではないかと思います。

安倍元首相の死から4年余り。

その事件を一つの契機として大きく動いた日本社会の中で、
私たちは何を守り、どのような国を次の世代に残していくのか。

法治国家とは何か。
信教の自由とは何か。
そして、異なる立場の人の人権を守るとはどういうことなのか。

今こそ、感情や同調圧力から一度離れ、
私たち一人ひとりが考えていく必要があるのではないでしょうか。


*講演会は、日本の未来を考える会(安藤哲夫会長)が主催し、
UPFジャパン宮城県平和大使協議会国際勝共連合宮城県本部が共催。

*小川栄太郎氏の関連YouTube動画を転載させていただきました。

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