ある本の中におもしろいエピソードを発見しました。
このエピソードについては後半で検証してみたいと思います。
観光シーズンになると、
無断でお寺の境内に屋台を開く焼き芋屋さんがいました。
お寺としては迷惑千万です。
ある日、その焼き芋屋さんが「しゃば代です」と言って、
事務所に3万円置いていきました。
おそらく断りもなく屋台で商売していたので、
クレームが来ないうちに置いて行ったのでしょう。
どうしたらよいかわからず、
お師匠さんに持って行くと、
お師匠さんはこう言われました。
「よし、わかった。3万円分の芋を買ってこい」
3万円分の焼き芋は、
両腕をまわしてかかえるくらいの分量があって、
しかもとても熱いので、持って帰るのが大変でしたが、
これもお師匠さんの人情でしょう。
そんな懐の深いお師匠さんのもとで、
修業をさせていただいたから今があるのだと、
全てのご縁とご恩に心深く感謝しています。
ちなみに、師匠は焼き芋が大好物でした。
その3万円分のお芋さんがどうなったか?
皆さんのご想像におまかせします(笑)。
これは、塩沼亮潤大阿闍梨さんの著書
『人生で一番大切な三つのことば』の中にあるお話です。
3万円分のお芋はどうなったのか
「ご想像におまかせします」と書いてありますが
さぁ~、どのようになったのでしょうか?
お師匠様はいくら焼き芋が大好物でも、
このような情の深いお師匠様なら
たぶん、弟子たちに全部振舞ったでしょうね。
お師匠さんは1本も口にすることなく・・・。
昔、物がない貧しい時代の母親は、
自分は食べなくても食べたふりして、
子供たちに食べさせたと言います。
親とはそういうもの・・・。
リーダーや責任者も親と同じです。
しかし、最近は、そうではなさそうです・・・。
物が豊かにあると言うのに・・・
親は自分が食べても子供に食べさせないで、
幼い子供が亡くなる悲しい事件がありました。
ところで・・・
もう一つ気になったのは
お寺の境内で商売をしていた焼き芋屋さんの行方です。
その後の焼き芋屋さんはどうなったのでしょう?
①再びお寺の境内にやって来て変わらず商売をした・・・
②二度とやって来なかった・・・
これについて主人の回答は①
私は②です。
お釈迦様はこう教えました。
「憎しみは憎しみをもってしては永遠に消えない、
怨みを捨ててこそ怨みは静まる。これは永遠の法である」
また、私の師匠(韓鶴子御夫妻)は、こう教えています。
「許して愛しなさい、一つになりなさい」
「武器を溶かして鋤(すき)や鍬(くわ)を作れ」
戦争も互いに武器を持ってしては拡大するだけ、
憎しみには憎しみで、怨みには怨みで返しても、
その先には悲劇しかありません。
相手に愛を持って向かったとき、治めることができ、
愛に触れて始めて憎しみや怨みが解けるのです。
これは宇宙の原理原則です。
なぜでしょう・・・
どのような人にも、「良心」というものがあるからです。
どんな悪党さんにだって「良心」があります。
*良心とは:
道徳的な善悪をわきまえ区別し、
正しく行動しようとする心の働き。
「一寸の虫にも五分の魂」です。
ところで・・・
あの焼き芋屋さんの行方はどうなったのか、
機会があったら塩沼亮潤大阿闍梨さんに
お尋ねしてみたいと思います。