田んぼの中で立ったり屈んだり・・・
伸びた稲の間を屈んで這いまわる・・・
こんな農作業を遠くから眺め
「あれはいったい何をしているの?」
と質問されたという話があります。
こんな農作業をご存じでしょうか?
「田植え」と「田の草取り」です。
猫の手も借りたい田植えのシーズンになると
私が子供の頃は、家族みんな田植えに駆り出されたものです。
それにもう一つ・・・
幼い頃に見たシーンがあります。
白い手ぬぐいを頭にかぶった祖母が
両手を後ろに組んで、
麦畑の中で蟹のように横歩きをしていました。
幼い麦の芽を、足で踏みつけていくのです。
手伝ったことのないこの農作業・・・
「麦踏み」だと大人になって知りました。
<農民版画家”飯野農夫也”画伯の作品「麦踏み」>
今は機械化による農作業の為、
このような風景はほとんど見かけないようです。
田植えも機械植え。
麦踏みもトラクターのローラーで踏みつけるそうです。
麦の新芽を踏みつける「麦踏み」・・・
無情のように見えるこの作業には
きちんと理由があったのです。
霜柱で浮き上がった麦を踏むことにより、
根が強く増加し茎が成長することで
”踏まれた麦は豊作になる”そうです。
「稲妻・稲光」も同じで、
“雷が多いと豊作になる”
「麦踏み」と「稲光」による麦やお米の豊作は
迷信ではなく、実際に科学的な証明がなされています。
ところで・・・
人間も同じではないかと思うことがあります。
麦踏みのごとくに人間も踏んだり蹴られ、
稲光のごとく雷を落とされて
根性が育つのでしょうか・・・
強くなれるのでしょうか・・・
心豊かになれるのでしょうか・・・
私の人生の中でも、
人から踏んだり蹴られたり
あらぬ誤解を受けたり
唾を掛けられ水をかけられたり
誹謗中傷も受けたり・・・
辛い経験たくさんあります。
でもね、時が経つと・・・
それ等すべては私の成長の為に
心を鬼にした天の計らいなのではないかと・・・
本当は、ありがたいことなんだなと・・・
麦踏みのように踏まれ
稲妻のように打たれて
こんな私も少しは強くなれたのでしょうか・・・
心豊かになれたのでしょうか・・・
「許して愛して一つになりなさい!」
「すべてに感謝しなさい!」
「不撓不屈!」
こんな言葉を私の耳元でささやく人がいます。
あなたは誰?
<農民版画家”飯野農夫也”画伯の作品:「麦刈り群像」1986年>