「あんたは、不思議な人だね?」と
老人は、時々私のことを不思議がる
そう言う彼は、いつも私をビックリさせる
きょうも、彼は元気でいるだろうか
時々、この日の悲しい出来事がよみがえる
2011年03月30日 の私の日記より抜粋
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数ヶ月前に彼は
胃癌の手術をして10キロやせた
「退院したら娘の所で静養するよ」と言っていた
でも、娘さんの所には行かないで、東京で一人頑張っていた
昨日、久しぶりにその老人を訪ねて
私は大きなショックを受けた
「元気そうで良かったわ。体重も戻ったみたいね」と私は言った
でも・・・彼の様子が何だか変・・・
「娘が死んだんだよ…3月11日の津波で流された…」
私は言葉が出なかった
仙台に住んでいる次女さんが
今回の津波で犠牲になってしまった
遺体は見つかったけど集団で埋葬してくださったらしい
子供さんと御主人は助かったそうだ
彼が悲しい知らせを受けたのは、大地震の2日後だった
「駈けつけたくても行けないよ」
「人生ってこんなもんだよ…」
「こればっかりはどうしょうもないから…」
「娘の運命なんだね…」
彼の心が泣いていた
彼の言葉に私は昨夜も眠れない
きょう、もう一度彼に会いに行ってみた
持参した白い花束
私の胸元でユラユラ揺れていた
それにしても本当に悲しいね・・・