毎年飾っていたお雛様、
いつから飾らなくなってしまったのでしょう。
実は・・・
飾らなくなってしまった悲しい歴史が
我が家にはあるのです。
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40年前、長女の初節句にそろえた段飾りのお雛様セット。
足を棒にして探し回ったお気に入りの段飾りセットを
この時期になると毎年飾りました。
お雛様を出すときは、
幼い娘達も喜んで手伝ってくれましたが、
しまう時は、いつも私一人。
出すときは、アッという間。
しまう時は一つ一つ和紙に包んで、
防虫剤を入れて段ボール箱に保管します。
しまうのに半日かかりました。
どんなに出し入れが大変でも、
娘達がお嫁に行っても、
25年間、必ず出して飾っていました。
それなのに・・・
ある時から全く飾れなくなったのです。
それは18年前のこと・・・
長女は韓国で第一子を無事出産。
初孫が生まれて大喜びしたのもつかぬ間、
生後43日で、孫娘は天国に逝ってしまったのです。
孫を預けた先の大学病院の医療ミスでした。
娘夫婦と韓国と日本の親戚中が苦しんで泣きました。
娘夫婦は結婚して初めてつらい経験をしたのです。
それ以来、娘は韓国での出産がトラウマになり、
2度目の出産は、日本で産んで3か月後に韓国に戻りました。
しかし3度目の出産を期に、
家族全員が日本にリターンしてしまったのです。
そのため、私たちは4世代同居になりました。
娘のお腹が大きくなるたびに・・・
「今度は女の子かな?」とみんなが期待しましたが、
生まれてくるのは立派な男の子。
妊婦検診で「男の子ですね」と言われても、
「もしかしたら女の子かもしれない」と期待しながら
娘は、次男、三男、四男を産みました。
男子が産まれるたびに韓国人の婿が言いました。
「無事ならどっちでもいいです。
男の子はお嫁さんをもらえるから家族も増えていいね」
長女は、家事と息子4人の育児と教育に、
心身休まることなく、毎日悲鳴を上げています。
「泣いたり苦しんだり悲鳴を上げた分の5倍の喜びが、
いずれ必ずやってくるよ」
私はそう言って娘を励ましてきました。
と・・・
そのような訳で、
あの事故以来、お雛様を飾ることがありません。
娘たちの立派なお雛様も暗いロフトで眠っています。
ところが先日・・・
我が家に17年ぶりにお雛様がやって来ました!
「ワ~~可愛い!!」
天国に逝った孫娘のお雛様です。
生きていたら今年18歳になる孫娘の小さな小さなお雛様。
並べたサイズは高さ15㎝×幅23㎝。
石鹸みたいにツルツルの優しいお雛様です。
各種の天然木でできた地味なお内裏様とお雛様。
孫娘を忘れないようにずっと飾って置くつもりです。
私は毎年この時期になると、
初節句のお雛様がないことを後悔していました。
今、天国にいる18歳になる孫の喜ぶ顔が見えるようです。
私の心の重荷もやっと、とれました。