「私は、言葉で罪を犯すから黙っていようと思うけど…やっぱり無理ね。余計なこと言って人を傷つけていた…」
娘がため息をつきながら、ぽつりと漏らしました。
息子の通う学校に足を運んだあと、何か心に刺さることがあったのでしょう。
その後、体調まで崩してしまったと聞き、驚きました。
5人の子を育て上げる、しぶとくたくましい母でも、心はデリケート。
私には見えなかったその弱さに、胸がぎゅっとなりました。
「人を傷つけて、自分も傷ついて、そうやって人間って成長していくのね」
二人でそんな会話を交わしながら、マザー・テレサの言葉を探しました。
人はしばしば不合理で、非論理的で、自己中心的です。
それでも許しなさい。人に優しくすると、人はあなたに何か隠された動機があるはずだ、
と非難するかもしれません。
それでも人に優しくしなさい。成功をすると、不実な友と、本当の敵を得てしまうことでしょう。
それでも成功しなさい。正直で誠実であれば、人はあなたをだますかもしれません。
それでも正直に誠実でいなさい。歳月を費やして作り上げたものが、一晩で壊されてしまうことになるかもしれません。
それでも作り続けなさい。心を穏やかにし幸福を見つけると、妬まれるかもしれません。
それでも幸福でいなさい。今日善い行いをしても、次の日には忘れられるでしょう。
それでも善を行いを続けなさい。持っている一番いいものを分け与えても、決して十分ではないでしょう。
それでも一番いいものを分け与えなさい。(マザー・テレサ)
どんなに良かれと思っても、誤解されたり、傷つけられたり。
それでも私たちは、許して愛して、優しさを手放してはいけない。
正直であること。誠実であること。与えること。笑顔でいること。
たとえ誰にも評価されなくても、誰かに伝わらなくても、それでも私たちは、善いことを選んでいく。それは、人の目ではなく、天の目に恥じないように生きること。
それが私たちの歩むべき道なのだと思います。
きっと娘もまた、誰かのために、一生懸命だったのでしょう。
思い通りにならないことがあっても、
「それでも許し愛しなさい。優しくしなさい」という言葉を、心にそっと置いておきたいと思います。
