ウクライナ民話に『てぶくろ』というお話があります。
その民話を題材にした絵本がありました。
(作: ウクライナ民話 絵: エウゲーニー・M・ラチョフ訳: 内田 莉莎子)
(作: ウクライナ民話 絵: エウゲーニー・M・ラチョフ訳: 内田 莉莎子)
『手袋』のお話はこんなお話です。
雪が降りしきる寒くて薄暗い森で、
おじいさんが手袋を片方落として行きました。
雪の上に落ちていた手袋をネズミが見つけて、
その手袋の中で暮らすことになります。
するとそこに…「ぼくも入れてよ」とカエルが、
「わたしも入れて」と、ウサギが、
そして、キツネ、オオカミなどが次々にやって来ました。
「どうぞお入りください」と、
動物たちは、快く迎え入れていきました。
手袋は次第にぎゅうぎゅうに膨らんで、今にもはじけそう。
最後には大きなイノシシやクマまでやって来ました!
すると、てぶくろは大きく膨らんで、
動物たちはてぶくろの中で、
互いに寄り添って仲良く過ごしていました。
そこへ、おじいさんが手袋を探しにもどってきました!(゚д゚)
エウゲー二ー・M・ラチョフは1906年ロシア生まれ。
『てぶくろ』の発表は1950年。
日本での出版は1965年。
ラチョフはスターリンの独裁政治の目撃者でもあり、
絵本の中の動物たちにウクライナの民族衣装を着せることで、
ウクライナ民族の姿を映し出そうとしたようです。
しかし、それはとても危険で勇気がいることのようでした。
今のウクライナとロシアにリンクします。
いったい、ラチョフは何を言いたかったのでしょうか。
日ごろは争い合う動物同士も、
乱暴な動物も手袋の中では誠実で、
みんなで一緒にいると暖かいのです。
貧しくても寄り添って、助け合って
手袋の中では仲良く幸せに暮らしていました。
たかが絵本、されど絵本。
4歳の孫に読んであげると・・・。
「なんで大きな熊さんが入れるの?」
これは私の勝手な解釈ですが・・・。
おじいさんは・・・「神様」
おじいさんの手袋は・・・「神様のふところ」
どんな人もどんな人種もどんな民族も
神様の懐の中では、
自由、平等、平和なのです。
誰も楽しく幸福に生きることができるのです。
共に生き、共に栄え、共に幸福になれるのです。
ウクライナとロシアが、いいえ、世界中の人々が、地球星が
神様の愛の懐の中で平和で平等で幸福に暮らせますように・・・。
70年前に、ラチョフはこんなことを願ったのかもしれません。