禅の教えには「把手共行(はしゅきょうこう)」という言葉があります。
この言葉に私は、はっとさせられました。
禅語とは、禅の修行を積んだ高僧たちが得た、物事の考え方や見方、行動の仕方、
さらには生き方への気づきを短い言葉で表現したものです。
漢字のみの短い言葉は難しく感じることがありますが、
そこには深い意味と多くの示唆が込められています。
何かにつまずいた時や困惑した時、禅語のページをめくってみると、
そこには自分が今行うべきことへの答えが見えてくるときがあります。
「把手共行(はしゅきょうこう)」とは、どのような意味でしょうか。
これについて述べられている、
白林寺住職 竹山廣道監修、ひらたせつこさんの『禅語エッセイ』をご紹介します。
<心の中に仲間がいる>
『禅語エッセイ』より同じ道を歩いている仲間がいる。
違う道を歩いていたと思っていたのに、
同じ場所を目指している仲間もいる。一緒に食事をし
一緒に笑える仲間がいるから
日々の喜びがある。一緒に歩かなくても、
一緒に汗をかかなくても、
ひとたび語り合えば思いが通じる仲間がいる。友達百人作っても良い、
親友一人だけでもいい。
仲間がいると思うだけで人はとても強くなれる。
「把手共行」は、「仲間と手を取り合い、共に歩む」という意味のようです。
しかし、これには他の意味にも解釈できそうです。
たとえば、手を取り合って歩む相手は、心の奥にいる自分自身です。
それは、曇り一つない「良心」とも言えるでしょう。
時には立ち止まり、自分の言動をその「良心」に問うことも大切ですね。
誰かを傷つけていないだろうか。
自分が正しいと信じたことを他人に押し付けていないだろうか。
人のためと言いつつ、自分に都合のいいように行動していないだろうか。
自分の行動や決断は正しかったのだろうか。
静かに自分の「良心」に問いかけてみるのです。
禅の言葉は奥深く、私にとっては心の師であり心のオアシスです。