すべてに感謝して

すべてに感謝して
運転免許証の更新に行ってきました。 
今回は駐車違反を一回していたので
“優良運転者”になれず
 “一般”になってしまいました。 
あの駐車違反さえしなかったら…

 
*******
 
4年前の5月、 主人の母が長野から上京した時のことです。
日ごろ親孝行してあげられない私は 
こんな時は精一杯、母に尽くそうと背伸びしました。
 
喜ぶ母の顔が見たくて 
お母さん! きょうは美容院に行きましょう!」 
母は足腰が悪く日頃はあまり外出できません。 
 
いいえ、大変だから…」 
 
「大丈夫よ! 車で送って行きますから…」 
 
行き付けの美容院まで母を車で送って行き、 美容院の受付を済ませ、
母が綺麗に仕上がる時間に
母を迎えに来るつもりで、
私は店を出ました。 
 
ところが、駐車しておいた車がありません。 
「あれ? 車がない…」 
ほんのわずかな時間に車が消えてしまったのです。 
 
 私は近くの交番に急いで駆け込みました。 
「車がありません! 盗難されました!」 
 
「何処に止めたの?」
「車に鍵はかけましたか?」聞かれました。
 
「かけたと思うんですが、はっきり覚えていません」 
 
「どのくらい駐車してましたか?」 
 
「5分くらいです」
交番のお巡りさんからいろいろ状況を聞かれました。 
そして、電話であちこち問い合わせているようでしたが 
この時点ではまだ、駐車違反の確認はなかったようです。 
 
「たった5分ですから、
レッカー移動じゃなくて盗難ではないですか?」 
 
「いいえ、今は厳しくて5分でも駐車違反になりますからねぇ~」  
「それに、あの場所はすぐにレッカーされる場所ですよ」 
 
 そうこうしているうちにお巡りさんが 
「車ありましたよ~」 
「やっぱり駐車違反でしたよ。 
〇〇警察署にレッカーされました」 
 
(え~~~信じられない! やってしまった~~!) 
 
 私はしかたなく電車に乗り警察署に車を取りに行きました。 
 
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「たった5分駐車しただけなんですが…」
警察官に私は、悔しくてダメ押しの一言をぶつけました。 
 
「5分でも違反は違反ですからね~」と 
警察官は毅然とした態度で、顔を横に振りました。
仕方なく 私は駐車違反金の
振り込み先と車の鍵を受け取って帰りました。 
 
 
 綺麗な髪で嬉しそうな母の笑顔を見た私は
 “駐車違反しちゃった!” なんて母に言えませんでした。
 
お母さんも綺麗になって喜んでくださったので 
超高級の美容サロンの代金を払ったと思えばいいんだ。
それに、事故でなくて駐車違反でよかった。 
 
 「そうだ!どんなことでも感謝なんだ」
そう思ったら心も軽くなり、
気が付いたら憂鬱な気持ちも消えていました。    

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