「アメージング・グレイス」―歌に込められた赦しと希望の祈り

すでに恵みの中にいます

「アメージング・グレイス(Amazing Grace)」――
この曲ほど、人々の心に静かに寄り添い、涙を溶かし、
希望を灯してくれる歌はないかもしれません。

それは、どんな人の人生にもある
“痛み”や“後悔”や“弱さ”そのすべてを包み込んでくれる歌だからです。


■ 奴隷商人だった男を変えた「奇跡」

「アメージング・グレイス」を書いたのは、
18世紀のイギリスの牧師、ジョン・ニュートン
彼は若い頃、荒れた人生を送り、奴隷船の船長として働いていました。

ところがある嵐の日、船が沈みかけながらも奇跡的に命が助かった瞬間、
ニュートンは思わず神に祈り、心から悔い改めたと言われています。

この体験が彼の人生を大きく変えました。

のちに牧師となり、奴隷制度に反対する活動にも身を投じ、
かつての罪と向き合いながら人の痛みを思いやる人生へと変わっていったのです。

「アメージング・グレイス」は、そんな彼が
“神の恵みが人生を変えてくれた”
という深い感謝から生まれた歌です。


■ 歌詞に込められた、告白と感謝

この歌の有名な一節に、

“I once was lost, but now am found;
Was blind, but now I see.”

(かつて私は迷っていたが、今は見いだされた。
目が見えなかったが、今は見えるようになった。)

この歌詞の
「見えていなかった(Was blind)」
「今は見える(but now I see)」

という表現は、単なる“視力”のことではありません。

「見えていなかった(Was blind)」とは、
ニュートンが奴隷商人として生きていた頃、
自分の罪や傲慢さ、人を傷つけている現実さえ見えなかった
“心の盲目”のことを表しています。
真理がわからず、霊的に混沌としていた状態とも言えます。

しかし彼は、天の赦しに触れたことで大きな目覚めを経験します。
「今は見える(but now I see)」とは、
守られて生きてきた自分に気づき、
生きる目的・歩むべき方向・人への愛の返し方
はっきりと見えるようになったという告白です。

つまり、人生の本質が光のように開けていく“霊的な再生”を表しています。


■ 時代を越えて、人の心に寄り添う歌

「アメージング・グレイス」は250年以上もの間、
戦争の時代も、病の時代も、悲しみの時代も、
人々の心を慰め、勇気づけてきました。

それは、
“人は誰でも、どんな過ちを抱えていても、新しい人生へ歩み出せる”
“誰もが天の赦しと恵みの中に包まれている”
という普遍的なメッセージがあるからです。

人生には、人には言えない後悔や、
どうにもならない苦しみを抱える時があります。

それでも、
「あなたは赦し愛されている」
「もう一度歩き出そう」
――この歌は、そう優しく語りかけてくれます。


■ 祈りのように、そっと寄り添う光

アメージング・グレイスを聴くと、
涙がこぼれそうなほど苦しい日も、
過去の痛みや自分を許せない夜も、
この歌を聴くと、なぜか心が軽くなります。

それは、この歌が
赦しと希望の祈りそのものだからでしょう。
どうか一度、静かに耳を傾けてみてください。

あなたの中にも、そっと灯る光が見えますように。


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