私たちは日々、誰かと関わり合いながら生きています。
その中には、「褒めること」もあれば、「叱ること」もあります。
けれど、「叱る」って、思っている以上に難しいことです。
感情的になったり、伝え方を間違えてしまったり、後で後悔することもあります。
だからこそ、心にとめておきたいのが——
叱ることは、相手の未来を信じる「愛の形」、「育てる祈り」だということ。
今回は、相手を大切に思うからこそ、心がけておきたい“叱り方”について考えてみましょう。
◆ 叱ることの本当の目的は?
叱るのは、「相手を責めるため」ではなく、「育ってほしい」「よくなってほしい」と願う、愛情のこもった行為です。
仏教には「慈悲の叱り」という言葉があるそうです。
それは、相手の立場を理解し、優しく丁寧に言葉を選び、その人の行動を改善するために必要なアドバイスや指導を、「怒り」からではなく「思いやりと慈しみ」の心から出る叱り方です。

◆ 叱るための7つのこころがけ
① 感情ではなく、思いやりで伝える
怒りのままに言葉をぶつけてしまうと、相手の心は閉ざされてしまいます。
深呼吸して、落ち着いてから話しましょう。
伝えたいのは怒りではなく、「大切に思っている」という気持ちです。
② タイミングを見極める
すぐに伝える方がよい場合もありますが、相手が受けとめやすいタイミングを待つのもやさしさです。その人の心の状態に寄り添うことが大切です。
③ 人前ではなく、一対一で
誰かの前で叱られると、恥ずかしさや防衛心が先に立ってしまいます。
できるだけ静かな場所で、落ち着いて話ができる環境を選びましょう。
④ 人格は否定せず行動を伝える。
「なんであなたはこうなの?」ではなく、
「この部分は、こうするともっとよくなると思うよ」と伝えることで、相手の心に届きやすくなります。
⑤ 自分も未熟であると心得る
自分もかつては同じような失敗をしてきた。
そう思えると、言葉が自然とやわらかくなり、相手にも信頼が伝わります。
⑥ 最後に「フォローの言葉」を忘れずに
「がんばってるの、ちゃんと分かってるよ」
「期待しているから、伝えたんだよ」
そんな一言が、叱られた人の心をそっと支えてくれます。
⑦ その人の「良さ」や「可能性」を信じていることを伝える
人は皆、成長する力を持っています。
叱るときこそ、相手のよさを信じるまなざしで言葉を届けたいですね。
◆ 仏陀が説いた「言われやすい人になれ」とは
仏陀は、特に修行中の弟子たちに「言われやすい人になりなさい」と教えたといいます。
これは、誰かに叱られたり褒められたりしたときに、素直に耳を傾けられる人こそ、どんどん成長できるということです。
けれど、この教えはもう一つの大切なことも伝えています。
それは——
「伝える側」にも、“言いやすさ”や“思いやり”が必要だということ。
相手のためを思って、やさしく、丁寧に伝えてくれる人がいるからこそ、
受けとめる人も安心して素直になれます。
そうやって「言葉のやりとり」が信頼のなかで育まれていくのです。
◆ 叱ることは「光を灯す」こと
人を叱ることは、時に勇気のいることです。
でも、その言葉に「この人に幸せになってほしい」という願いが込められていれば、
たとえ耳が痛くても、やがて相手の心に光を灯します。
伝える側がやさしい心を持っていれば、
その叱責は決して「責め」ではなく、「贈り物」になるはず・・・。
◆ おわりに
誰かの成長を願って言葉をかけるとき、私たちは自分自身の人間性も問われています。
だからこそ、叱るときこそ「この人はきっと、もっと良くなっていける」と信じる心が大事。
そんなまなざしで届けられた言葉は、きっと相手の心に静かに響き、ゆっくりと人生を照らしていくでしょう。
❤最後までい読みいただきありがとうございました。
