2001年9月11日。
世界中を震撼させたアメリカ同時多発テロ事件から、今日で25年が経ちました。
四半世紀という長い年月が流れ、あの日を知らない世代も増えています。
どれほど大きな悲劇であっても、時が経てば、
人々の記憶から少しずつ遠ざかっていくものです。
しかし、決して忘れてはならない出来事があります。
「3.11」と「9.11」。
この二つの日は、私にとっても決して忘れることのできない日です。
2003年、私はグラウンド・ゼロに立った
私は9.11から約2年後の、2003年8月。
ニューヨーク・マンハッタンでの宣教活動の帰りに、
世界貿易センターのツインタワーが倒壊した跡地を訪れました。
どうしてもその場所に立ち、犠牲になった方々のために祈りたかったからです。
あの日、ツインタワーには2機の旅客機が相次いで激突し、
やがて二つの巨大なビルは崩れ落ちました。
ニューヨークだけでなく、ワシントン郊外の国防総省への攻撃なども含め、
約3,000人もの尊い命が失われました。
テレビの画面を通して見たあの光景は、今でも忘れることができません。
しかし、実際にその場所に立ってみると、映像からでは感じることのできない、
言葉にできない重苦しさがありました。
2年後にも残っていた、深い傷跡
2003年に訪れた時、巨大な瓦礫の多くはすでに撤去されていました。
それでも跡地は、灰色の巨大な工事現場のようでした。
そこに近づいていくことさえ、私は恐怖を感じました。
ほんの2年前まで、ここには世界を代表する超高層ビルがそびえ、
何万人もの人々が働き、語り合い、それぞれの日常を送っていた――。
その当たり前の日常が、あの日、一瞬にして失われたのです。
周辺にも、まだ事件の傷跡が色濃く残っていました。
車が通ると土埃が舞い、すべてのビルはシャッターが下りていました。
街全体に、何とも言えない重苦しさを感じたことを覚えています。
近くの教会には多くの人々が訪れ、静かに祈りを捧げていました。
私もそこで、犠牲になった方々を思い、祈りました。
あの場所で感じた空気は、25年が過ぎた今も私の記憶から消えることはありません。
<倒壊前のツインビル>

<倒壊の瞬間>

悲劇の跡地は、祈りと追悼の場所へ
その後、私はグラウンド・ゼロを訪れていません。
しかし現在、かつてツインタワーが建っていた場所は、
緑と水に囲まれた「9/11メモリアル」として整備されています。

二つのタワーが建っていた場所には、大きな正方形の追悼池が造られました。
水は四方から静かに流れ落ち、その周囲には、
9.11のテロなどで犠牲となった人々の名前が刻まれています。
誕生日を迎えた犠牲者の名前のそばには、一輪の白いバラが手向けられるそうです。

そこは単なる観光地ではありません。
愛する家族を失った人々にとっては、今も大切な人と向き合う場所。
そして世界にとっては、テロの悲劇を二度と繰り返してはならないと誓う場所なのだと思います。
廃墟から立ち上がった「ワン・ワールド・トレード・センター」
グラウンド・ゼロのそばには現在、
「ワン・ワールド・トレード・センター」が空高くそびえています。
2006年に着工し、2014年に開業した超高層ビルです。
その高さは、尖塔まで1,776フィート(約541メートル)。
「1776」という数字には、アメリカ独立宣言の1776年への思いが込められています。
青空と雲を映し出すミラーガラスの塔が、悲劇の跡地から天に向かって立つ姿。
それはまるで、
「私たちは悲しみの中から、もう一度立ち上がる」
という人間の強さを象徴しているようにも見えます。
<ワン・ワールド・トレード・センター>


<グラウンド・ゼロ(中央)とワン・ワールド・トレード・センター(左上)>

25年経っても忘れない
25年。
当時生まれた子どもたちは、すでに大人になっています。
9.11を「歴史の中の出来事」としてしか知らない世代も、これからますます増えていくでしょう。
だからこそ、実際にあの時代を生きた私たちには、伝えていく責任があるのではないでしょうか。
憎しみが新たな憎しみを生み、暴力がさらなる暴力を生む。
その連鎖の先に、平和はありません。
宗教も、民族も、国籍も、思想も違う。
それでも、失われた一つひとつの命の尊さに違いはありません。
2003年8月、私はグラウンド・ゼロに立ちました。
あの灰色の跡地を見つめながら、犠牲になった約3,000人の方々のために祈ったことを、
今も覚えています。
あれから23年。そして、9.11の悲劇から25年。
街は美しく生まれ変わっても、そこで失われた命まで過去にしてはならないと思います。
忘れないこと。
語り継ぐこと。
憎しみではなく平和を選び続けること。
それが、あの日に命を失った方々に対して、
今を生きる私たちにできる小さな祈りなのかもしれません。
2026年9月11日。
今年も、犠牲になられたすべての方々のご冥福を心よりお祈りいたします。
そして、世界からテロと戦争がなくなり、宗教や民族、国境を越えて、人々が互いの命を尊重できる平和な世界が訪れることを願ってやみません。
「Ground Zero」という言葉について
「Ground Zero」は、本来、大規模な爆発、特に核爆発などの「爆心地・爆発中心地点」を意味する言葉として使われてきました。
9.11以降、世界貿易センター跡地を指す呼称として広く知られるようになりました。
※この記事は2024年に掲載した記事を、9.11から25年を迎えた2026年9月11日に、
記録として残すため加筆・再編集したものです。
*写真はすべてお借りしました。

