ジョン・レノンの名曲『イマジン』が誕生したのは1971年。
当時、世界中が戦争と不安の時代に、ロックは単なる娯楽ではなく、
社会へのメッセージを伝える手段となり「平和と愛」を本気で叫んだ時代でした。
「物質的な豊かさ」よりも「心の自由」「平和」を重視する価値観が広がり、
宗教や国家の枠組みに疑問を投げかける空気が生まれた時代でした。
ビートルズ解散後も、ジョン・レノンは平和と愛を歌う象徴的な存在となりました。
しかし、50年以上が経っても、
この歌が訴えかける「平和への願い」は色あせるどころか、
むしろ今の世界にこそ必要なメッセージのように思えます。
ウクライナとロシアの戦火、そして中東で続く報復の連鎖。
アフリカ諸国での内戦や武力衝突。
アジアでも民族・宗教間の緊張が絶えず、
国と国、民と民の間には深い溝が生まれています。
さらに、戦争だけではありません。
アメリカやヨーロッパでは依然として深刻な人種差別が残り、
宗教を理由とした迫害や抑圧も世界のあちこちで続いています。
本来「違って当たり前」のはずの多様性が、
時に対立や憎しみの原因となってしまう…。
そんな悲しい現実を、私たちはいま目の前で見ています。
それでも――
だからこそ、祈らずにはいられません。
どうか、もうこれ以上、誰も傷つきませんように。
どうか、世界が争いの道ではなく、和合と和平の道へ向かいますように。
◆ イマジンが示した“境界線のない世界”
『イマジン』は、現実を超えた願いを語りかけます。
- 国という境がない世界
- 宗教を理由に争わない世界
- 財産の違いが憎しみを生まない世界
- 人々が“兄弟姉妹”として協力し合う世界
その姿は、ある人にとっては夢物語のように聞こえるかもしれません。
しかし、宗教が長い歴史の中で説いてきた平和ビジョンとは、
「神の下の人類一家族世界」です。
民族、国境、宗教、文化――
人を隔てるすべての“境界線”を超えて、
「私たちは本来、同じ神のもとに生まれた一つの家族である」
という真理です。
この視点に立つとき、
戦争も差別も宗教迫害も、
“家族同士が傷つけ合っている姿”です。
◆ 神の願いは「壁」ではなく「橋」をつくること
今の世界では、国と国、民族と民族、宗教と宗教の間に「壁」が立ちはだかっています。
しかし神が望まれるのは、壁ではなく「橋」です。
- 相手の痛みに思いを寄せる心
- 違いを受け入れる寛容さ
- 憎しみの連鎖を断ち切る勇気
- 理解と尊重を選ぶ姿勢
大きく政治や世の中を変えることはできなくても、
私たち一人ひとりが、身近な場所で「小さな橋」をかけることはできます。
家庭で、学校で、職場で、社会で――
人を責める代わりに、
「あなたも私も、同じ一つの家族なのだ」と。
それが平和への第一歩です。
◆ 世界を変える力は“想像すること”から始まる
ジョン・レノンは歌いました。
You may say I’m a dreamer, but I’m not the only one.
「僕を夢追い人だと言うかもしれない。
でも僕はひとりじゃない」
本気で理想を語る人は、しばしば笑われるものです。
しかし、人類の歴史を動かしてきたのは
“想像する力・イメージ”でした。
- 暴力より対話を
- 憎しみより愛を
- 差別より尊重を
- 分断より和解を
そう願い続ける人がいる限り、世界が変わる可能性は失われません。
◆ 祈りは、必ず世界に届く
世界は、一夜にして平和にはなれない。
けれども一人ひとりの祈りは、
必ず誰かの心を癒し、つながり、未来へと受け継がれていきます。
そしてその祈りが大きな輪になったとき、
「神の下の人類一家族世界」は
夢ではなく“現実”へと近づいていくのです。
どうか世界に、
そしてこの地上のすべての人に、
平和が訪れますように。
互いを兄弟姉妹として尊重し合える未来が開かれますように。

◆参考:ジョン・レノンと『イマジン』
ジョン・レノン(1940–1980)は、
ビートルズの創設メンバーとして世界的に活躍したミュージシャンです。
鋭い感性で多くの名曲を生み、解散後は『イマジン』など平和と愛を歌う作品を発表。
音楽だけでなく反戦や人権活動にも取り組み、そのメッセージは今も広く支持されています。
「親日家」であり、「平和主義者」でもありました。
実はきょう、12月8日がジョン・レノンの命日。
(1980年12月8日、ファンと名乗る男に暗殺されました。)
『イマジン』~ジョン・レノン~
天国はないって想像してごらん
その気になればたやすいことだよ
僕らの足元にはに地獄もなく
頭の上には 空だけ
想像してごらん みんなが今日のために
生きているって…
国境なんか無いって想像してごらん
それは難しくなんかないよ
国や宗教のために殺し合ったり死ぬことないよ
想像してごらん みんなが平和の中で生きているって…
君は僕のことを夢追い人だと思っているだろう
でも僕は一人じゃない
いつか君たも一緒になって
世界が一つになってほしい
財産なんかないって想像してごらん
君にできるだろうか
欲張ったり飢えたりする必要はない
誰もが兄弟なんだから
想像してごらん
みんなが世界のすべてを分かち合っていることを…
君は僕のことを夢追い人だと思っているだろう
でも僕は一人じゃない
いつか君たも一緒になって
世界が一つになってほしい
<Imagine / John Lennon & Yoko Ono>
