木守り柿~自然の恵みを独り占めしない思いやりの風習~

愛をもって

東京のど真ん中で農家をしている
友人の家を今年も訪ねてみました。

畑の中に大きな柿の木があります。

今年は、この柿の木の実を収穫するご主人がいません。
柿の花が咲く6月に逝かれたのです。

そのご主人から数年前に心温まる話を聞きました。
「木守り(きまもり・こもり)」「木守り柿」という話です。

「木守り」とは・・・
柿を収穫するとき、柿の木の上の枝と下の枝に柿の実を少し残すのだそうです。
その残された柿の実を「木守り柿」。

まるで取り忘れたかのように、柿の実が木にひとつふたつ
残っているのを見たことがあります。

これは取りにくいため残したのではなく、
柿の木へ感謝と願いを込めて、わざと残すのだそうです。

木守柿(こもりがき)には、次のような意味があります。

  • 自然への感謝の気持ち
  • 来年の豊作を願う気持ち
  • 鳥やその他の動物たちへの贈り物
  • 人間と自然、獣たちとの共存共生共栄の象徴

たくさんの実りを贈ってくれたことへの感謝の気持ちと、
来年もまた、たくさん実を付けますようにと願いが込められているそうです。

それから、生き物へのプレゼント。
食べ物が少なく厳しい季節を迎える野鳥や動物たちの為に・・・
厳しい冬を乗りきる生き物たちの貴重な食料。

木の上の柿は野鳥や動物のため、木の下の柿は通りがかりの旅人のために、
ほんの少しのおすそ分け。

そういう昔からの風習がありました。

収穫の季節に、全部収穫しないで残しておく習慣・・・おすそ分けする習慣・・・
自然からの恵みを独り占めせず、分かち合う昔の人の知恵と愛・・・
こんな温かな思いやりの心が今でも残っているのです。

人間の搾取や自然破壊によって絶滅してしまうものもあると言うのに・・・

人と生き物・・・人と自然・・・互いに支え合い共存しながら生きています。
「共生共栄共存」「思いやりの心」
”木守り柿”を通して考えさせられました。

<写真はお借りしました>

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