苦しみや悩み 思い通りにいかない、そのような状態を『苦』といいます。
こうしたいという理想と、そうはならないという現実。
「苦」とはそうした理想と現実のギャップから生じているといいます。
例えば・・・
同じ会社に同期に入り年収500万円のAさんとBさんがいます。
Aさんは現在の年収に満足し、Bさんは不満を持っています。
同じ収入でありながら、「満足・不満」という状況が生まれます。
障害児を持つ親と、五体満足の子供を持つ親がいたとします。
障害児を持った親が不幸だとは思っておらず、
健常者の子を持つ親の方が不幸や悩みを感じていることがあります。
つまり・・・
幸・不幸というのは、収入の額や環境・相手が問題ではなく、
自分の思いが叶っているか、いないかということです。
現実がどうというより、自分の心と現実のギャップが、
生きづらさ、苦痛 悩みの原因となります。
ならば「理想と現実のギャップ」を解消すればよいと言うことになり、
それには2つの方法があります。
①外側(環境・相手)を自分の理想に合うように変える
②内側(自分自身)の心を変える。
しかし、外側(環境や相手)を変えることはそう簡単ではありません。
自分の心を変えてしまうことの方が早い解決策になります。
ここに、自分の心を変えることができるという禅の教えがあります。
「放下著(ほうげじゃく)」と言う禅語です。
「捨ててしまえ!」
「すべての執着や思い込みを捨て去れ!」という意味です。
「思い通りにならないもの」に執着しない。
「こうあるべき」と言う執着を捨てる。
「思い込み」を捨てる。
「ネガティブな思い」を捨てる。
「悪しき思い」を捨てる。
人間は1日に6万回の思考をしているそうです。
その内9割は昨日も考えていたこと、8割がネガティブな思考だそうです。
ときどき、冷蔵庫の中の賞味期限の切れた食品や
着れなくなった洋服、自分の不要な物を「断捨離(だんじゃり)」しますが、
同時に、心の中の不要なネガティブな思いも「放下著(ほうげじゃく)」しよう。