大木になった二本の記念樹

ある日の出来事
39年間暮らした我が家には、二本の記念樹があった。
一本は家の庭に、もう一本は家に隣接した公園の中にある。
いずれも娘二人が小学校に入学した「記念樹の桜の木」である。
 
塀の中の桜は八重桜、長女の記念樹で,
公園にあるはソメイヨシノは二女の記念樹
娘の身丈もなかった二本の桜の苗木は、
31年を経て大木になってしまった。
 
この二本の桜は娘達のそれぞれの人生に似ている。
 
 塀の中の八重桜は あまり枝を伸ばすこともなく、
おとなしく咲いている。
桜の季節も終わり頃に、遅ればせながら満開になる。
虫に食われることもなく、濃いピンク色の花を付ける。
五分咲きの花は塩漬にして、お饅頭やお菓子の飾りと桜餅に使う。
 
桜の木は大きくなるので家の近くに植えてはダメと聞いて、
二女のソメイヨシノは隣接した公園にお邪魔させてもらった。
二女の桜は公園の半分を埋め尽くすほどの大木になった。
道路や家の敷地まで迷惑も知らずに、
広い公園の中でのびのびと枝を伸ばした
虫が発生すると、公園課の職員さんが枝を払い消毒をする。
心配掛けて助けてもらいながら、のびのびと大きくなった
春にはたくさんの人を喜ばせる、見事に咲いて桜吹雪となる。
夏はバス停でバスを待つ人たちに涼しい木陰を作る。
 
どちらの桜が美しいか、立派かとは比べられない 。
どちらも、それぞれがそれなりの個性を持っている。
 
娘達の生き方に似ていて桜の木を見上げて、
一人で笑ってしまう。
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秋になると、二本の木は、
紅葉した葉っぱをハラハラと落とし 
美しい落ち葉のジュータンを作る。
 
早朝に落ち葉のお掃除をする私の仕事が一つ増える 。
かき集めた落ち葉が山になり、
風の強い日は、大きな吹き溜まりを作る。
 
「もう~、落ち葉のお掃除は大変だねぇ~」
と言いたくなるけど、大事な記念樹なのだから・・・。
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