私たちの身体を支えてくれるもの――
それは、杖やステッキ、登山ならピッケルや護法の杖かもしれません。
では、心を支えてくれる「杖」はあるのでしょうか?
「逆境のときに、自分を支える“心の杖”を持っていますか?」
そう聞かれると、少し考え込んでしまいますよね。
人間関係の悩みや、思いがけない出来事、
どうにもならない苦しみ…。
心が折れそうになることは、誰にでもあります。
そんな時、そっと心に安心と勇気を与え、前向きに立ち上がる力をくれる――
それが「心の杖」なのかもしれません。
🍃 酒井雄哉さんの言葉に学ぶ「心の杖」
比叡山で千日回峰行を満行した酒井雄哉大阿闍梨さんの著書
『続・一日一生』には、こんな言葉が出てきます。

「人生にも『心の杖』を持とう」
千日回峰行では、500日を過ぎて初めて杖を使ってよいそうです。
あの行者の杖「護法の杖」は、ただの飾りではなく大切な道具なのだそうです。
登りでは体を支え、下りではひざを守り、
時には獣から身を守ることもあるそうです。
そして歩くうちに、杖はただの道具ではなく、
“心の支え”のような存在 になっていくのだそうです。
「出かける時に、“今日も頼んだぞ”と声をかける。まさに護法だな。」
そう語る酒井さんの言葉には、深い実感がこもっています。
杖に支えられ、杖と共に歩むうちに、心の中にも「支え」が生まれていく。
それが「心の杖」というのでしょう。
🍃あなたの「心の杖」は何ですか?
人によって、「心の杖」の形はちがいます。
家族の笑顔、誰かの言葉、音楽や趣味だったり、
あるいは信仰や朝の祈りや静かな時間かもしれません。
それを思い浮かべるだけで、
心が少し温かくなったり、力が湧いてきたりする――
それがきっと、「心の杖」なのかもしれません。
🍃そして、誰かの“杖”になる
気づかないうちに、
あなた自身も誰かの「心の杖」になっているかもしれません。
励ましのひとこと、優しいまなざし、黙って寄り添うその存在。
人は支えられながら、また誰かを支えて生きていく。
そんな温かなつながりの中に、
人生の深い意味があるのではないでしょうか。
今日もあなたの中の「小さな杖」が、静かに心を支えてくれますように。
そして、あなた自身も誰かの心の支えになりますように。

