「父の日にお父さんの似顔絵を描きます。描かせても大丈夫ですか?」
幼稚園の先生が、娘に電話してきた。
父の日のプレゼントが、お父さんの似顔絵のため、先生が心配したのだ。
実は・・・娘はシングルマザーの母子家庭。
次男を妊娠中に離婚、孫はお父さんをよく知らない。
娘は先生の気遣いに感謝して「大丈夫です!」と答えた。
こんな話を娘が私にしていた。
私たちの傍でこんな会話を聞いていたであろう5歳の孫。
聞いていたら、会話の内容を理解できる年齢だ。
私は「シマッタ!」と感じて孫の顔をみた。
いじけたような寂しそうな孫の顔。
私は直ぐにこんな言葉を口走った。
「ゆうちゃんのお父さんは、目に見えないけど・・・
いつもゆうちゃんのそばにいるんだったよね。どこにいるかな?」
孫はちょっと顔を傾けて、答えなかった。
その時の孫の顔を思い出すたびに、私は胸が痛くなる。
主人にこの話をしながら私は泣けた。
実は・・・
私は孫の幼稚園の送り迎えを時々している。
帰りの道すがら、孫の手を引いて、こんな話をしたことがある。
「ゆうちゃんのお父さんは神様だよ。見えないけどいつも、ゆうちゃんのそばにいるよ。
どこにいると思う?」と私が尋ねると・・・
「ここだよ」と言わんばかりに孫は自分の胸を指さした。
父の顔も神様の顔も知らない孫は、
教えてもいないのに神様の所在を知ってた!
悲しいけれど嬉しい瞬間だった。
天の神様!
ゆうちゃんと一緒にいる天のお父さん!
どうぞ、ゆうちゃんのそばに居て守ってくださいね。