長野県に住んでいる叔父さんから先日、
暑中見舞いの絵葉書が届いた。
『ご無沙汰ばかりで申し訳ございません。
私は昨日、コロナワクチンを注射し、
夜は肩が痛くて、よう眠れませんでしたが、
蛍が1匹家に入ってきまして慰めてくれました。
ボケが進まないように体を動かすようにしていますが、
物忘れの毎日です。
どうぞ皆さんお元気で』
こんなハガキをいただいて、
20年前のアメリカで遭遇した忘れられない光景を思い出した。
2002年、アメリカ、アイオワ州のデモイン、
この小さな町で4か月間宣教活動をした。
可愛いおもちゃの家を並べたような素敵な美しい町である。
アスファルトの壊れかかった道路を、車がコトコトと走っている。
私の住んでいる東京と比べたら、
この街は時間が止まっているような、のどかな町であった。
ある日私は、1日の伝道活動を終え、体調がすぐれなかった。
「できたら早く日本に帰りたい…。
子供たちや夫はどうしているだろうか…」
1階の礼拝堂で祈りを捧げるために、
ゆっくりゆっくりと地下室の階段を上って礼拝堂に行こうとした。
階段を昇るとき、私の目に不思議な光が入ってきた。
小窓のレースのカーテン越しに、チカチカと光り輝くもの…
「何だろう? 」
カーテンを開けて見た。
なんと無数の蛍!!
教会のグリーンの庭でチカチカと沢山のホタルが飛び交っていた。
こんなにたくさんの蛍を今までに見たことがなかった。
芝生の濡れた夜露を求めて飛んで来たのか、
それとも大量発生したのか?
何とすごい光景だろう!
私は、思わず蛍の飛びかう庭に飛び出した。
私が子供のころの長野県田園地帯では、
蛍を捕まえて虫かごに入れ、
夜が更けるまで眺めていたことがあった。
そのころの蛍とは全く比べ物にならない無数の蛍に遭遇した。
今でも、アイオワ州デモインの 美しい風景と、
あの日に出会った無数の蛍を忘れられない。
<アメリカ アイオワ州のデモイン>