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こんなLINEのやり取りのお相手は・・・
実は、会ったこともない、顔も知らない
亡き友人の息子さんなのです。
この子とLINEのやり取りをするようになったいきさつが、
実に不思議なのです。
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2017年5月・・・
3歳の孫が懐かしい「一枚の写真」を
私の目の前に差し出しました。
「あら~~懐かしい!」
私と娘はその写真を眺めながら・・・
「〇〇さん元気かな~~」
次女にもこの写真を写メして娘達と思い出話しとなりました。
「その写真」は娘たちが大学生の頃、
仲間7名で長野県蓼科山に登山した懐かしい写真でした。
写真の中央の青年(〇〇さん)を囲んで、
娘たちが笑顔で映っています。
おそらく20年も昔の写真。
引き出しの奥にあったアルバムの中の写真です。
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写真のその当時・・・
私と青年の〇〇さんは、
同じ職場で机を並べていました。
同郷でもあり、彼は年上の私を「お姉さん」と呼びました。
彼は背が高くてカッコよく、
どこにいても目立つ存在でした。
優しい青年でしたから、
職場の誰からも人気者。
青年とは言っても幼い子のパパでした。
2010年、彼が転職して彼の姿が職場から消えた日、
私の机の上に一通の置き手紙がありました。
数行の短い手紙は彼からでした。
「お姉さん、お世話になりました。
いつも私を励ましてくれてありがとう。
使っていた事務用品、良かったら使ってください」
その後、彼に会うこともなく、風の便りでは・・・
介護免許を取得し、介護の仕事に就いたと・・・。
仕事が丁寧で、お年寄りや仕事仲間からも
頼りにされているとのことでした。
どこに行っても、どんな仕事をしても彼らしいと思いました。
お子さんも3人になったようでした。
私は頂いた事務用品を大事に使っていました。
ところが・・・
その事務用品が、彼の形見になってしまったのです。
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本当に不思議なことがあるものです。
2017年5月・・・
孫が私の目の前に差し出した「一枚の写真」
彼を懐かしがったその日に・・・
彼は亡くなったのです。
山好きの彼は仲間と登山中に滑落死してしまったのです!!
悲報を知ったのは彼を懐かしがった日の二日後。
お通夜は私の誕生日でした。
私は、斎場にかけつけ、一目お会いしたかったけれど、
事故の傷がひどいとのことでお目にかかれませんでした。
彼の奥様に「あの写真」の話をしました。
「あの日、〇〇さんが会いに来たのでしょうか・・・」
と言うと・・・
「夫は、あの職場が懐かしくて、いつも会いたいと言っていました」
本当に不思議なことがあるものです。
「虫の知らせ」「夢のお告げ」「胸騒ぎ」「予感」
などと言う言葉があります。
「あの写真」はいったい何だったのでしょう。
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彼がこの世にいなくなっても、
私はLINEの名前「〇〇さん」を削除できませんでした。
それから数年後・・・
彼のLINEから突然の着信!
「僕は、息子の〇〇です」
彼の息子さんが、父親の携帯を使っていたのです。
おそらく中学生か高校性になると思います。
そして先日・・・
息子さんからの久しぶりのLINEでは、
自作の動画やアニメをYouTubeにアップしたとのこと。
動画の中の妹さんは彼にそっくりでした。
人の縁とは不思議なものです。
時間と空間を超えて繋がっているのですね。
天国から子供たちを見守っている〇〇さん。
私も遠くから、彼らを見守ってあげたいと思います。