「わたしはいなくなんて、なれないんだ。
わたしがいなかったら、うちが、こわれちゃうから」
小説「with you」の中で、中学生の少女が漏らしたせりふです。
この小説は、児童文学作家の濱野京子さん(65)が、
自らの体験を踏まえて「ヤングケアラー」をテーマに書いています。
昨年、「青少年読書感想文全国コンクール」の
課題図書に選ばれました。
最近、よく耳にする「ヤングケアラー」とはなんでしょうか。
病気や障害のある家族の介護や世話、
家事、感情面のサポートなどの、
本来大人が担うようなケアを行っている、
18歳未満の子どもを「ヤングケアラー」と言います。
去年初めて行われた国の調査では、
中学生の17人に1人、高校生の24人に1人が、
ヤングケアラーにあたる可能性があるそうです。
しかし、自分がヤングケアラーだと自覚していないのです。
本人は、家族のお手伝い、当たり前の事だと思って、
悲惨な状況に置かれていても、誰にも相談しない。
学校に通っていない、通えない状況にいるのです。
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今月15日、埼玉県で15歳(中3)の少年が、
暴行死するという悲惨な事件が起こりました。
少年は、大家族(親と子供8人)の長男、
学校にほとんど行かずに
小学生以下の幼い7人のきょうだいの
ケアをしていた「ヤングケアラー」でした。
「ヤングケアラー」の悲惨な実態が見えました。
取材をした記者は、次のように言いました。
「現場に何度も足を運ぶうち、
少年の声なき声が聞こえてきました。
周囲が異様な環境に気づきながら、
なぜ、少年を救うことができなかったのか?
そのような子供たちに、どのような支援を
していったらよいのでしょうか?」
「教育系YouTuber」として活躍する、
サイエンスアーティストの市岡元気さん(37)。
市岡さんもヤングケアラーだったそうです。
母子家庭に育ち、入退院を繰り返す自殺未遂のお母さんと
弟さんをケアしていました。
「人生なるようになる」
「頑張っても頑張らなくても、
なるようになるから気楽にいこう」
これは市岡さんが、お母さんのケアが続くなかで、
弟さんが将来への不安を口にしたとき
弟さんにかけていた言葉だそうです。
それにしても、悲しいです。
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相談窓口(厚生労働省ホームページより)
☆児童相談所相談専用ダイヤル
電話番号:0120-189-783(フリーダイヤル)
受付時間:24時間受付(年中無休) ※令和3年7月から無料化
☆24時間子供SOSダイヤル(文部科学省)
電話番号:0120-0-78310なやみいおう(フリーダイヤル)
受付時間:24時間受付(年中無休) ※通話料無料
☆子どもの人権110番(法務省)
電話番号:0120-007-110
受付時間:平日8:30~17:15 ※通話料無料
土・日・祝日・年末年始は休み
☆日本精神保健福祉士協会「子どもと家族の相談窓口」(外部リンク)
参考:
・NHK首都圏ナビ
・厚生労働省ホームページ
・TBSNEWS
・厚生労働省ホームページ
・TBSNEWS
(日陰でもよく育ち、寒さが厳しくなる時期に開花する「困難に負けない」花:ツワブキ)