あしあと ~マーガレット・F・パワーズ~
ある夜、私は夢を見た。
私は、主と共に渚を歩いていた。
暗い夜空に、これまでの私の人生が映し出された。
どの光景にも、砂の上にふたりのあしあとが残されていた。
ひとつは私のあしあと、もう一つは主のあしあとであった。
これまでの人生の最後の光景が映し出されたとき、
私は、砂の上のあしあとに目を留めた。
そこには一つのあしあとしかなかった。
私の人生でいちばん辛く、悲しい時だった。
このことがいつも私の心を乱していたので、
わたしはその悩みについて主にお尋ねした。
「主よ。私があなたに従うと決心したとき、
あなたは、すべての道において、私と共に歩み、
私と語り合ってくださると約束されました。
それなのに、私の人生のいちばん辛い時、
ひとりのあしあとしかなかったのです。
いちばんあなたを必要としたときに、
あなたが、なぜ、私を捨てられたのか、
私にはわかりません。」
主は、ささやかれた。
「わたしの大切な子よ。
私は、あなたを愛している。
あなたを決して捨てたりはしない。
ましてや、苦しみや試みの時に。
あしあとがひとつだったとき、
私はあなたを背負って歩いていた。」
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同じような内容が旧約聖書(申命記1:31)にあります。
『 また荒れ野でも、
あなたたちがこの所に来るまでたどった旅の間中も、
あなたの神、主は父が子を背負うように、
あなたを背負ってくださったのを見た。』