苦労と難儀とは、私は別のものだと思っています。
゛苦労"と言うのは心の持ちようで
感じるものだと思うのです。
ものがない、お金がないと言うのが
苦労だと言われておりますが、
私はこれは〝難儀〟だと解しています。
常に希望を持っていましたから、
私は苦労という感じは
少しも持っていなかったのです。
難儀するのは自分の働きが
足りないからだと思っていたふしもありました。
僕は物事がうまくいった時は
皆のおかげ、
うまくいかなかった時は
すべて自分の責任と思っていた。
風が吹けば波が立つ。
波が立てば船も揺れる。
揺れるよりも揺れないほうがよいけれど、
風が強く波が大きければ、何万トンの船でも、
ちょっと揺れないわけにはゆくまい。
これを強いて止めようとすれば、
かえってムリを生じる。
ムリを通せば船がこわれる。
揺れねばならぬときには揺れてもよかろう。
これも一つの考え方。
大切なことは、うろたえないことである。
あわてないことである。
うろたえては、かえって針路を誤る。
そして、沈めなくてよい船でも
沈めてしまう結果になりかねない。
すべての人が冷静に、
そして忠実にそれぞれの職務を果たせばよい
~『道をひらく』より~
・藤尾秀昭著『人間における運とツキの法則』(致知出版社)